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大竹寛子 個展「Rhizome」

大竹寛子 個展「Rhizome」

AFRODE CLINIC(東京都渋谷区神宮前3-5-7 BASE神宮前 B1)
2023年11月15日(木)〜11月27日(月)

今展のタイトルである「Rhizome」リゾームは、植物学の用語で「根茎」のことですが、横に繋がっていく多方向な関係性のことを、現代思想家のドゥルーズとガタリの共著『千のプラトー』の中で比喩的に表現した哲学用語としても知られています。
ものごとは樹の根の様に多方向に複雑に関係し合って、一見バラバラに存在しているものでも実は背後では見えない地下根茎や糸の様に絡み合っている、という世界観は私がモチーフとして描く蝶の背景であるバタフライエフェクトの世界観とも共通する部分があります。世界の多様性と関係性を作品を通して表現してみようと試みました。

生物のことを考えると、私たち人間の身体は絶えず変化し、細菌などの他者によって住まわれており、生命プロセスのさまざまなバランスによって一定の姿かたちをかろうじて維持しています。そのバランスが崩れると病や死に至ります。身体はつねに多少病んでいるし、純粋な健康というのはありません。生と死は混じっていて、世界は流動的であり、変化のただなかにあると感じています。

また流動的であることと相反する恒常的であることが同時に存在するという関係の中にこそ真理があるのではないか、と作品を通して模索しています。モチーフとして扱う蝶や花に重ねるイメージも、常に流動的な現在の瞬間です。幼虫から蛹、蛹から成虫として全く形の異なる蝶になるという完全変態形を持ち、揺らめく様に飛ぶ蝶。蕾から花が咲き、やがて枯れ、種が出来る自然の摂理の中に儚さ、そして強さや美しさを感じます。それらを完全ではない記憶にとどめ、可視化していく作業こそ私の制作活動なのかもしれません。
流動的で儚いものをあるがままに受け入れ、自然の中にそれを見出し、自然と共存しながら精神的な成熟を試みてきたのが日本人のアイデンティティの一部であると感じています。
異なる文化の共生、部分と全体の共生、歴史と現代が共生する美意識を解釈し日本画というカテゴライズを超えて、制作していきたいと考えています。

https://studio.onbeat.co.jp/exhibition7/